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その手

その手が初めてふれたものは
なんだったのだろう。

眩しさの中で泣きながら
母親の胸にふれたのか。

その手が初めて傷つくのは
どんなときだろう。

台所の縁に手をかけて
きらりと光る包丁に
触れてしまったとき。

痛みは、熱いのだと
しるのだろうか。

その手が初めて守るものは
なんなのだろう。

落ち込む友達の肩にそっと触れて
背中をさするのか。

昼過ぎに浅い眠りから覚めて
まだ未完成のかかとを揺らす。
その大きな黒目が
ぼうと見つめる先には
微かに開いた窓がある。

そして、彼女は
その窓の外にある世界に向かって
まだ何も知らないその手を伸ばし
届かないことに腹を立てるように泣いた。

慌てて指を差し出すと
わたしの人差し指を巻き取って
彼女は、にこりと笑った。

……………………………………………………
友達の子供が生まれて
仙台まで会いに行ったとき感じたことを
ここに書き残しておこうと思います。

SETA

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singer "song & novel" writer 岡山生まれ 本の虫

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