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妄想日記「私の理想の日曜日」

森田繭 32歳 会社員 2020.10.25

私の理想の日曜日は、朝起きたら白湯を飲み、ヨーグルトとリンゴを二切れ食べてヨガをし、シャワーを浴びること。

けれど今朝は、起きたら二日酔いで頭がぐるぐるして一歩も動けなかった。鉛のように思い頭を持ち上げて、水の入ったペットボトルを探す。ペットボトルに残った水を飲みほしてため息をつくと、息はアルコールの匂いがする。最低な朝だ。

私の理想の日曜日は、昼に読書をしながら自炊したランチを食べ、読書に飽きたら近所を散歩して、帰りにパン屋で甘いきな粉をまぶしたパンを買う事だ。

けれど、今日の昼は読書どころかまだベッドから脱出できていない。眠れないのに、動けない。最悪な昼だ。

私の理想の日曜日は、夜に近所の居酒屋で「ちょい呑みセット」を頼み、ほろ酔いになったら帰宅。アロマオイルを垂らしたお風呂に浸かりながら、ネットフリックスで韓流ドラマを観る、そんな夜だ。

けれど今日は、ようやく夕方から動けるようになったものの、もはや私の「理想の日曜日」は取り返せそうにない。ガクッと肩を落とし、夕ご飯をコンビニに買いに行こうと思ったその時、ライン電話の着信音が鳴り響いた。私は、誰からの電話かも確認せずに出る。すると、聞き覚えのある声が私の名前を呼んでいた。いつもなら嬉しい声なのに、今夜は二日酔いの頭に響いてきつい。「あー…、裕也。ちょっと私、いま、二日酔いだから声量下げて」「え、まじで?お前も?」「お前も、とは?」「いや、俺も昨日先輩に連れまわされて二日酔い」「え、まさか今起きたの?」「うん、俺の貴重な日曜日が消えた」「はは。ひどい日曜日だね」「繭も二日酔いなら似たようなもんか」「うん。理想とはかけ離れた日曜日だった」「まあ、理想なんて理想だから理想なんだしね」「…ねえ、まだ酔ってんの?」「ふははっ」いつも楽観的な自分の恋人の笑い声を聞いているうちに、だんだん「理想なんて理想だから理想なんだ」と思えてきた。「ねえ、このまま電話繋いで今日はもう寝ちゃおうよ」「おお、いいね。腹くくって今日はとびきりだらしない日曜日にしようぜ!」

ふと、こんな日曜日もアリかもしれないと思えた。もしかすると、私の理想の日曜日は、だらしない日曜日と紙一重なのかもしれない。

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singer "song & novel" writer 岡山生まれ 本の虫

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