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妄想日記「五本指ソックス」

望月透子 27歳 美容師 2020.10.6

火曜日。代官山の有名サロンに勤務する半人前美容師である私に定休日などない。今日は、先輩の雑誌撮影に同行した。「カリスマ美容師になってやる」と夢見て上京したものの、東京にはギラギラした若者が沢山いて、まるで早送りされた映像の中みたいな日々に必死でしがみ付いている。

くたくたで家に帰ると、宅配ボックスにAmazonから荷物が届いていた。開けると、色鮮やかなピンクの「五本指ソックス」が出てくる。「はて、こんなもの頼んだかしら。」スマホで注文履歴を見る。…ばっちり頼んでいる。酔っていたのか、私。最近忙しかったし、足先だけでもリフレッシュされたい気分だったのかもしれない。返品するか迷ったが、「泥酔していたため記憶にございません。返品します。」なんて理由がまかり通るのか怪しいので、結局使うことにした。

五本指ソックスを履くのは、初体験!意外とてこずった。タオルみたいな厚みのある生地だからか、予想以上に足の指が開く。指と指の間に布が入り込んでくる奇妙な感覚に、「うっ…」とうめいた。そして、五本指ソックスを装着した足を、グーにしたりパーにしたりしてみる。すると…

「なんだ、この気持ちよさは…!!!!!」ヘッドスパで頭をほぐされている時のような感覚が足にある。動かすほどに、足から心臓に向かって血が駆け上がっていくのが分かる。今日一日立ちっぱなしだった足が、生き返るようだった。

私は、五本指ソックスを追加注文する為にスマホに手を伸ばす。

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singer "song & novel" writer 岡山生まれ 本の虫

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