SETAの日々煩い

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楽描き「タンポポ」

花壇の花を全部抜いて
君は言ったね
「これで、世話しなくて済む」って
金木犀の残り香だけが
亡霊みたいに漂っていた

横断歩道を渡れなかった
わたしの横を
右手を上げて君は渡っていく
その後ろを歩いていれば
安全な気がしていたんだ

いつも正しいを決めるのは君だった
いつもわたしを見下ろす君だった

そして、時が経ち
君が抜いた花壇にポツンと
抵抗するように咲くタンポポ
もっと咲けばいい
何度も抜

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楽描き「失恋ヒップホップ」

Yo!
西日に焼かれたビルの輝き
恋に敗れたわたしに厳しい
彼に最後に言ってやりたい
夢見る前にバイトしろ
だけど言えるはずもなかった
夢見る彼がすきだった

同じような男ばっか
同じようなクズばっか
同じような夢ばっか
性懲りも無く繰り返す
わたしは来世に期待しよう

Yo!
わたしの財布は彼の財布
わたしの投資
彼を信じた当時
2人の未来のためだと信じてた
信じたいわたしのためだった

同じよ

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楽描き「コロコロ」

そろそろ 
コロコロ
しなくちゃな

目には見えない
小さなホコリも
細くて 茶色い
わたしの髪の毛も

根こそぎ ぜんぶ
まとめて 粘着
そこどけ 蜘蛛よ
逃げたら つづき

コロコロを転がす
ホコリのない一本線
透明なレッドカーペットみたい
コロコロを剥がす
心機一転場所を変えて
まだまだきれいになりそうだ

根こそぎ ぜんぶ
まとめて 粘着
そこどけ 蟻よ
何故 ここに

コロコロは進んでく

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楽描き「まだちょっとある」

まだちょっとある、と
思いたかったんだろうか

犬はいつまでも舐め続ける
もう空っぽになった餌入れを
まだちょっとある
まだちょっとあるはず
犬を餌入れから剥がす時
少し意地悪な気持ちになる

背中を向けて眠る君の背中に
終わりそうな恋の灯火
まだちょっとある
まだちょっとあるはず
手を伸ばしては止まる
拒絶されるのはいつだって辛い

高熱を出した子供は苦しそうだ
味もわからぬお粥を
舌を焼きなが

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楽描き「お団子スイッチ」

あなたの前で
お団子をつくるのは
誘惑してるわけじゃない

少しやる気が欲しいとき
少し気合を入れるとき
お団子スイッチを押してるだけ

あなたの前で
髪をかきあげるのは
色気を出してるわけじゃない

少し視界が悪いとき
少し話がつまらないとき
髪をかきあげているだけなの

ピリピリするリップグロスは
眠気覚ましをする為に
赤い下着をつける日は
大事な仕事に向かう日だ

だけど、たまに本気で誘った

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楽描き「幻の人」

勉強をしながら
遊んでいて
眠りながら
計算ができる
そんなひとっている?

優しくもあって
美しくて
賢くて
料理がうまい
そんなひとっているの?

黒板の上に貼られたスローガン
「みんな違ってみんな良い」
わたしは幻を見上げている

頑張りさえすれば
苦手なことを
なんだって
克服できる
そんなひとっている?

楽しくもあって
詳しくて
謙虚で
欲がない
そんなひとっているの?

来週は身体測

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楽描き「きれいになりたい」

別に、ケイトモスに
なりたいわけじゃないの

筋肉のついた細い足
まっすぐ割れた腹筋
それでいてチャーミングなからだ

そんな風になりたいわけじゃないの
高望みだってわかっているから

それなのに、ジムで汗をかく
重い鉄を抱きしめて
膝を曲げたり伸ばしたり
動かない窓の景色を前に
ハムスターみたいに走る

別に、ケイトモスに
なりたいわけじゃないの

だけど
きれいになりたい
1ミリでも
きれいに

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楽描き「どちらの方が好きか論争」

ふりかえっちゃいけないよ
デートの後に
ふりかえっちゃいけない

わたしがふりかえったのに
あなたがふりかえらなかったら
わたしの方が好きみたいで
ジリジリとしてしまうから

繋いでいた手を解いて
じゃあね、と言った時
まだもう少し、と思う
あなたはそう思わない?

ジリジリとしてくる
メソメソとしてくる
やれやれと思う

くるりと体を反転させて
わたしは歩きはじめる
あなたの歩く一歩一歩を
聞き

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楽描き「抱きしめたい」

わたしはいま
抱きしめたい

去年の終わりに
未来が見えたなら
すれ違う人すべて
抱きしめたのに

春には 手作りマスクを作り
夏には 暑さでマスクと死闘した
秋には それが当たり前となり
冬には 誰も何も言わなくなった

いつから母の胸に
飛び込むのが恥ずかしくなったのか
もう忘れてしまったみたいに

友達と酔った中目黒
外国人みたいなハグをして
ふわっと香ったシャンプーの匂いも
もう忘れてしま

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