SETAの日々煩い

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妄想日記「友のキューピット」

金子みかん 21歳 学生 2020.11.20

英語の授業終了1分前、私は先生に見つからないようにリュックに教科書を入れていく。授業終了30秒前、出席カードに名前を書き込む。そして、授業終了のチャイムが鳴った瞬間、私は短距離走の陸上選手のように教室を飛び出した。廊下にズラッと並んでいる教室からまるで蜂が巣を飛び立つみたいに生徒たちがわらわらと出てくる。私は、いつも誰よりも早く廊下に飛び出して、今

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妄想日記「夜を泳ぐ」

戸田睦美 22歳 ミュージシャン 2020.11.18

ミュージシャンは、夜行性だと思われがちだ。もちろん、自ら望んで夜行性な生活を送る人もいる。でも、私みたいに出来ることなら早寝早起きしたい人もいる。それでも、それができないのは私がまだ夢半ばのミュージシャンだから。バイトは、深夜の方が時給が高いし、練習で使うスタジオは深夜パックが安い。そうすると、自然と夕方に起きて、昼頃寝る生活になってしまう

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ひとめぼれした小物

高校一年の入学式で、私は初めて一目惚れをした。体育館の入り口から入場した時、入り口に向かって背を向けている先輩たちの背中の中に、ぴかぴか光る男性の背中を見つけたのだ。ちょっと色素の薄い髪と、立派ではないんだけど寂し気で雰囲気のある背中。何故だか、目が離せなくなった。それが、私の一目惚れだ。(後日、彼は背中だけでなく正面もかっこいいことを知ってガッツポーズをした16歳の春…笑)そう言ったわけで、その

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妄想日記「憎めない宅急便」

植木立夏 19歳 学生 2020.11.12

19歳って中途半端な年齢だ。大人でもなければ子供でもない。なめられたり、できることが制限されたりするわりに、お金や日々の生活などは自立を求められる。大学進学で一人暮らしを始めてから、そう痛感する出来事がいくつかあった。例えば、引っ越し初日に、どこで聞きつけたのか新聞セールスの人がやってきて、断っているのに強引に契約を求められたりした。友達に誘われて行

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妄想日記「マスクを外すタイミング集」

七瀬ゆい 27歳 デザイナー 2020.11.10

私は、わからない。マスクを外すタイミングが、わからない。今、世界中の人がマスクをつけているのだから、みんな困っているはずだ。なのに、ニュースで「マスクを外すタイミングに困っている人が続出!」と特集が組まれたり、雑誌で「これは押さえるべき!できる女のマスクを外すタイミング!」みたいなコーナーがないことが、私を更に追い詰める。もしや、私だけの悩みな

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人見知りが密かに聴いているアゲアゲ洋楽(ダンス編)

突然ですが、皆さんが「踊りだしたくなる時」ってどんな時でしょう。テストでいい点を取れた時?好きな人から返信があった時?仕事がうまくいった時?お酒に酔ってるとき?でも、実際にその場で踊りだす人は少ないはず。だって、突然踊りだしても不自然じゃないのはミュージカル映画の中ぐらいですよね。でも、人目に付かない場所ならどうでしょう?それなら、私のような人見知りでも踊ることができます。

ということで、本日は

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妄想日記「二番か三番目のわたし」その2

「なんか、勝手にそこらへんでくつろいでてー」部屋に入るとお姉さんが言った。入ってすぐ横が台所、廊下の先がワンルーム。当たり前ながら、彼の部屋と同じ間取りでホッとする。迷うことなく、廊下を進むと部屋の真ん中に小さな机が置いてあった。その下には、毛の長いふわふわのラグが敷かれている。私は、机の上におでんを置き、ラグにそっと座った。後からやってきたお姉さんの両手には、マグカップが握られている。「いや、お

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妄想日記「二番か三番目のわたし」その1

杉本かおり 25歳 フリーター 2020.11.3

都合がいい恋って、いくつまで許されるんだろう。大学時代、私が好きになる人には決まって彼女がいて、私が好きになる人はいつも私を二番目か三番目にした。それが、悲しいとも言えるし、これはこれで楽だなと思っている自分もいたり。だらだらと友人と集まり、何となくレポートを提出し、何となく恋もしている。そんな答えをずっと先延ばしにしているような大学生活が終わ

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妄想日記「20デニールのストッキング」

野々村桃子 23歳 大学生 2020.10.31

私の元恋人たちには、ちょっと変わった趣味趣向があった。ある男性は、自分の服を私に貸したがった。彼の大きめのシャツや、パーカーを着て大学に行くと彼は満足そうだった。ある男性は、ニーハイソックスが大好きでいつも私にそれを履くことを求めた。私は「少女趣味だな」と思いながらも、ニーハイソックスを履き続けた。ある男性は、私に小食でいることを求めた。外で食事

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妄想日記「あなたより劣っていてあなたより勝っているわたし」

牧野つばさ 24歳 作家志望 2020.10.29

私は、自分の劣っているところを見つける天才だ。よく言えば、相手が自分をより勝っているところ(良い所)を見つける才能があるってことだ。例えば、百合ちゃんは美人で、スタイルが良くて、華がある。さえ子ちゃんは、お話が上手で友達が多い。明菜ちゃんは、仕事ができて収入が多い。そんな風に、どんな人でも私より勝っていて、対する私は自分の人より劣っている点に目

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