SETAの日々煩い

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記事

その手

その手が初めてふれたものは
なんだったのだろう。

眩しさの中で泣きながら
母親の胸にふれたのか。

その手が初めて傷つくのは
どんなときだろう。

台所の縁に手をかけて
きらりと光る包丁に
触れてしまったとき。

痛みは、熱いのだと
しるのだろうか。

その手が初めて守るものは
なんなのだろう。

落ち込む友達の肩にそっと触れて
背中をさするのか。

昼過ぎに浅い眠りから覚めて
まだ未完成のかか

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うれしかったこと。

最近うれしかったことは
近所の花屋さんが
私の名前を覚えてくれたこと。

あと、お花の入荷時期を
こっそり教えてくれること。

いつも使っているスタジオで
いつもの機材を
自然に先回りして渡してくれること。

母親に電話をしたら
恥ずかしいくらい堅苦しい
あけましておめでとうございます、を
お互い言い合って変な間ができたこと。

友達に、数年ぶりに年賀状を書いたこと。

我が家のハムスターが
年末

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いい日。

今日はすごくいい日。
天気もいいし
部屋はどこも居心地が良くて。

近所の工事の音もしないし
お通じも快晴だ。

そんな日を、私はいい日だと感じる。

でも、同じように天気が良くて部屋は居心地がよくて、工事の音がしなくて、お通じが快晴でもいい日と感じない日もある。

不思議なんだけれど
結局いい日かどうか決めるのは
その日の私の気持ちだということに
ここ数年で気づいた。

世界中が幸せになってくれ

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君へ

君はいいよな。

ふわふわしていてかわいいし
向日葵の種があれば
世界で一番幸せそうな顔をするよな。
貪欲でないところがいい。

君はえらいよな。

毎晩、回し車で体を鍛えているし
人見知りしないで誰の手の上でも
キャベツを食べているよな。
疑わないところがえらい。

君はずるいよな。

そのぷりぷりのお尻が見たいのに
なかなか見せてくれないんだから。
前世はきっとモテ男だったんだろう。
媚びない

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わたしのライバル

わたしは匂いで思い出が蘇るタイプだ。

匂いってやつは本当にふとした瞬間にやってきて、嫌味なく思い出を引っ張り出してくれる。

初めて好きになった人の衣服は
ダウニーの匂い。

初めて買った香水は
フローラルとフルーツが混じった匂い。

泣くのを我慢しながら帰った帰り道は
青空に枯れ葉の匂いが混じってた。

すれ違った人から
昔好きだった人のタバコの匂いがした。

銘柄まで覚えてる。
ちょっとバニ

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離れていれば

離れていれば
思いやることができるのに
近くにいれば
曖昧に接して甘えてしまう。

学生だった時、何が気がかりだったかって、
単位と、友達との会話。
毎日一緒にいたら、話題だってなくなる。
今日は無言で昼ごはんを食べることがありませんように、って授業が終わるまで願ってた。

実家にいた時、何が憂鬱だったかって、
家族に勝手に部屋に入られた時と夕ご飯。
毎日一緒にいるから、不満だって溜まる。
今夜は

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子供の頃は、初めて出会うもの全てが
光を反射して眩しく感じられた。
毎日、数多くの光を見つけては
母に「きれい」と片言で訴えた。

雨上がりの窓についた水滴
木漏れ日が揺れて
庭に水をやるとホースから出る水が
光の橋みたいに見えた。

光。
眩しくてずっとはみていられない。
でも、ずっとみていたくなる。

そんな風に、子供の頃は簡単に
光を見つけられたけれど
大人になればそうもいかない。

見ずと

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撮影の裏側

「今日は、撮影でした。」というとキラキラしているように聞こえる。

私も、この世界に入って初めて「撮影」を迎えた日は、心踊りました。子供時代、好きな読者モデルとツーショット写真が撮れると聴けば渋谷109に並んでいたあの時のミーハーな気持ちが蘇った感じ……。でも、実際初めての「撮影」は屋上の淵に立って風に煽られながら恐怖心と羞恥心から両端の口元が引き攣ったのを覚えています。しかも、ミニスカートの制服

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髪の毛を紫にした日。

わたしの髪の毛の色は
コロコロ変わります。
それも保守的な方ではなく刺激的な方に。

前回、わたしの中の「歌」へのこだわりをお話ししたのですが、実は髪の毛にも、こだわりがある気がします。しかも、明確に髪の毛へのこだわりが芽生えた瞬間を今でも覚えているのです。

19歳で、地元を離れるまでわたしは地元の美容室に通っていました。
高校生ですし、カラーをすることもなく( 友達同士で夏休みに染めたりはして

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歌のオタク

至極、わかりづらいとは思うけれど
私は毎回ライブで歌い方を少しずつ
変えるように心がけています。

理由は、
単純に同じ曲を同じように歌っていても新鮮さがなくなるというのもあるし、17歳の時に作った曲を26歳になって同じように歌うのは無理があるとか、あと、「ああ、ここがベストだ!」と自分の成長を止めないためでもあります。

まず、どうやって変えていくかというと、案外、過去に録音したCD音源が役立っ

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